みやぎ県子ども・おやこ劇場 随想

0804290016.JPG

第24回 鍵

 「行ってきま〜す」うちの家族は、誰も家の鍵を持ち歩きません。声を掛けてガラガラ ガッターン ピシャこれだけです。三世帯で住んでいて祖父ちゃんか祖母ちゃんが必ずいるので、家が留守になることは先ず無いのです。

 子どもたちが小学校に行き始めると、ちょっと気がゆるんで、帰る時間に間に合わないこともしばしばありました。そんな時でも子どもたちは家から閉め出されることもなく、おやつを食べていました。

 私は、両親が仕事をしていたので小学校の頃から鍵を常に持っていました。それなのに、鍵を忘れて学校へ行ったときがありその時は、ちゃっかりお隣に上がり込んで待って言いました。妹と二人の留守番は、寂しいこともありました。雨が降ると寂しさは倍増です。暗くなるのが早い秋から冬にかけても同じです。そんな思いを子どもたちにはさせたくなかったので、子どもが帰る時間には、なるべく家に居るようにしていました。

 今、我が家では、「ただいま」と戸を開ければ「お帰り」と言ってくれる人が必ず居ます。三世代同居は敬遠されますが、同居を始めて一五年たった今、鍵を待たなくても良い安心感、気楽さにどっぷり浸っています。

三塚 映子

第23回 回路が開く

 今回、縁あってドイツを訪れた。私にとって初の海外旅行。そのドイツの地で印象に残った体験がある。それは、道に迷った時のことだ。

 地図を片手にうろうろしていたら、現地の人とちょうど目が合った。その瞬間、自分と相手の人との間で〝回路が開く!〟というような、そんな感じがしたのだ。相手の人の頭の中を「ああ、この人は道に迷ってんのね。観光客だし」というドイツ語が駆け抜けていったのを、私は「あ、なんかわかる」と肌で感じたのだ。しかし、その人が何を伝えたいのか回路がつながっているような空気があれば、何となくつかめるものだなと実感できた。

 言語以前に肌で感じるとか察するとか、そういう必死で周囲の環境をインストールしようとする体験は凄く新鮮なことだった。

 もちろん、日本に居ても普通にやっていることだが、異国の地でのそれとはまったく違っていた。それは、自由な感じを伴っているか、いないかの違いだった。以前、ある語学セミナーで「なぜ外国語を学のか?」という質問に対して、先生は「母国語からの自由を得るためだ」と答えたことがあった。その時はよく解らなかったけれど、今回の旅で『これだ!』とつかめた感じがした。また、その感じを味わいに旅に出よう。

安藤裕美子

第22回 子どもたちの言動を見つめる日々

ADHDという障害ご存知ですか。軽度発達障害のひとつで注意力欠如も症状の一つ
です。

長男は、人一倍物を無くす子でした。小学校の参観日に出かけて行くと落し物の
半分は、

息子のものでした。ザリガニ釣りに夢中になって学校に到着せず、捜索隊がでた
ことも。

そんな長男と私を救ってくれたのは、担任の先生の言葉でした。「本人がわざと
やっているのではないのだから、もう言わなくていいですよ」ADHDという障害名
に出合ったのは、
その後のことでした。
その子は大学生。<メモをとる、置き場所を決めておく>など見通しを立てて暮
らしています。最近は、ボランティア活動もしているようです。
 そして私は、養護学校の高等部で働き、ADHDをはじめ様々な障害を克服するた
めの手立てを考えながら彼らと共に過しています。中学校でいじめられたり、辛
い思いをしたことが原因と想われる自信喪失や気力が弱まっている子たち。
ちょっとしたきっかけで切れたり、パニックになってしまう生徒、食事を食べな
かったり、
一つのことに何十分もこだわって動けない。毎日様々なことが起き、親御さんの
中にはオロオロしてしまう方も見受けられます。寄り添うことの難しさを感じな
がらも、子どもたちの言動を見つめ心の叫びを聞いている日々です。
以前、息子と私を救ってくれた先生の存在を大きな支えにしながら・・・・。

戸田 上子

第21回 ドイツらしさの発見

「バブーシュカ・ティアター」事前勉強会として、「ドイツを知ろう パート2」が開かれ、大人十一名、子ども九名が参加した。 講師は娘さんがドイツに住んでおられる柴田よね子さん。一般的なドイツの生活についてのお話を聞きました。

私が興味をもったのは、持参してくださったドイツのおもちゃです。カードゲームのおもちゃで、カードと駒がいくつか入っていました。 その入れ物が、プラスチックではなく、ブリキの四角い缶なのです。そして小さな動物たちの駒は、これもプラスチックではなく木製のものでした。

私の個人的な感覚かもしれませんが、これらのおもちゃは、材質が壊れにくい木やブリキなので、大切にすると、母から子へ、子からまたその子どもへ、と受け継がれて行くものではないか、と思いました。 伝承遊びと言うか、伝承おもちゃというところでしょうか。そういうの好きです。

ドイツだけでなく、ヨーロッパ製の木製のおもちゃは日本でもたくさん目にします。高いけれどいいんですよね〜。 いつも欲しい、欲しいと、子どものようにさわいでしまいます。恥ずかし!

浅野 仁美