みやぎ県子ども・おやこ劇場 随想

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第5回 主夫はつらいよ

昨年の夏、子どもたちの夏休みが終わろうとする頃、妻が二ヶ月の間入院しました。 家族は中二の娘、小六の長男、小三の次男、保育園年長の三男と子どもが四人います。 それまでは、土日だけ子育て参加…「育児無し」の父親でした。 独身時代、一人暮らしが長かったので、一通り家事をこなす自信はありました。 料理なら、酒の肴は得意でした。…が、朝起きて朝食の準備、掃除と洗濯を終え、保育園に送りながら会社へ。 昼前に隣に住んでいる父を迎えに行きながら昼食(父とは同じ職場で父が代表者)。午後一番に妻の病院へ。容態を気遣いながら、「こっちは皆元気…」と。

病院のそばの生協に寄り会社へ。会社では、急ぎ以外の仕事は事情をお話して来月にでもと、先延ばしするのが仕事でした。

五時前、父といっしょに保育園へ寄り帰宅。そして夕飯の準備。おかずを五品作り、「できたぞ〜!」下の子の合図で「皆さんでいただきま〜す!」…「パパ〜!」…「ん?美味しい?」…「おかずだけで、ご飯が無いよ〜!」「ごめん! 炊くの忘れた〜…」っていうのが十日に一回くらいでした。中二の子の塾の送り迎えが終わり、十時前です。二度目か三度目の洗濯が終わり、子どもらの寝顔を確かめて、持ち帰った仕事を…。何時寝たのか判らぬまま次の日に。体が休まるのは会社の中…。

座右の銘を三つ追加しました。「家事とは、終わりの無い戦いだ!」「精一杯、手抜きをせずに力を抜く」「いっしょにいる時間を増やせば子どもの顔が見えてくる」

監事・津田 好男

第4回  音をたのしむ

よく、「長谷山さんのお宅はご夫婦で音楽を仕事にされているので、いつも音楽が流れているのでしょうね」と言われる。答えは「否!」である。 どんなに「いい音楽」でも常に流れている状態は好ましくない。息子が聴く音楽は、保育園に送る時車の中で聞くSMAPの「世界にひとつだけの花」、 夜お休み前に枕元の小さなCD付きラジカセで聴くメヌエット程度で、後は一寸だけテレビの番組に気を配る程度である。しかしながら演奏会は大好きである。 仙台フィルの?オーケストラと遊んじゃおう?に始まり自衛隊音楽隊に至るまで未就学児を受け入れてくれる演奏会にはスキップして親子で出かけることにしている。 「こどもによい音楽を聴かせたい」子を持つ親なら当然である。でもこどもはそう思っているのであろうか?

音楽は書いて字のごとく音を楽しむと書くのである。いい音楽だから?親が子に聴かせる音楽でなく、楽しい音楽だから親子で一緒に楽しむことである。

音楽家以上に曲のことを知識として知っているマニアックな人が結構いる。 決して悪いことではなくそれだけの知識を持っていることを羨ましいと思うことも度々である。 でも一番大切なことは知識ではなく良いものを良いと感じる心を養うことである。

理事・長谷山 博之

第3回  季節のパノラマ

マイホームを建ててから現在まで、楽しく続けてきたことが一つあります。 玄関にある下駄箱の上を「舞台」に見立てて、一〜二ヶ月に一回、娘・妻・私で「季節のパノラマ」を演出しています。

「「お正月・春一番・お月見・クリスマス」などが定番のテーマです。 扱う素材には、作った人の顔と暮らしがわかる手づくりの木工芸品や陶芸品、透明感と色鮮やかなガラス、 織物、絵葉書等を使います。かれこれ一〇年、六〇〜九〇シーンを演出したことになります。

今年の夏は、「沖縄ガラス」と拾い集めた貝殻やさんご礁が盛り立ててくれ、猛暑を乗り切りました。 「広島の原爆瓦」も登場させ、平和をテーマに飾る場合もあります。また、私の「きり絵」が色を添える時もあり、 その創作時は、私にとって、とっておきの時間となります。この小さな我が家の文化活動は、これからも続けます。

「工芸品」の素晴らしさは、想像的なオリジナル品・手づくりという点で「音楽」「演劇」「パフォーマンス」にも通じるところがあります。 演じる人・創る人の顔と生き方が見える、そこから生まれる芸術に子どもたちが共感する、そんな様々な文化が宮城に広まるといいですね。

理事・木伏 研一

第2回 モモから…

私がモモに出会ったのは、もう三〇才も過ぎた頃でした。 そうあのドイツの童話作家ミヒャエル・エンデの『モモ』です。普通は子どもの頃に出会っているのでしょうが、 そう考えれば二〇年も遅い出会いだったと言えるでしょう。しかしこの出会いは、私にとっては今でも影響を与えている出会いだったのです。 それはモモの<聞く>と言う能力の事…。

モモに話していると考えがまとまったり、新しいアイデアが浮かんだり…かと言って何かアドバイスを与えたり、魔法を使ったりする訳ではありません。モモはただ注意深く聞いているだけです。この<聞く>という事に気付かされたのです。正に目から鱗でした。あなたの身近にも居ませんか? その人と話していると何故か自然と自分の気持ちを素直に話せるという人。そんなモモの様な人になりたいなぁと思うようになったのです。

忙しさに日々流されていると、気付かぬうちに人の話を流し聞きしていたり…。 確かに私の側には、時間泥棒が近付いていたのです。 もしかして、あなたの隣に灰色の紳士が座って居ませんように…。

理事・鈴木 江美

第1回  起こす

猫の額ならぬねずみのへそぐらいの畑が庭にあります。ふんわりとした風が吹いている日でした。畑を耕していた鍬の先にポッと、冬眠中の蛙が出てきました。青蛙は「まだ眠いよー、布団をかけてくれよー」とでも言っているように、じっとして動きません。手のひらの中でも体を丸くしたまんまです。。

「カエルが い・る・よ」子どもたちを寄びました。「カエル?葉っぱじゃないの?」「柔かいね。プルプルしてるよ」子どもたちにそっと手渡してやりました。 畑は一面にハコベがはびこっています。ハコベをむしり、土を掘り起こして、石灰を振りました。そしてコンポスト容器から堆肥を取り出し、畦(うね)に入れました。 冬越しの玉ネギとサヤエンドウには土寄せをしました。。

さて、ほうれんそうとラディッシュの種を蒔こうかと準備していたときです。「お父さん、カエルが元気になったよ!」子どもたちが駆けてきました。「ほらね、元気に泳いでいるよ!」 聞けば、あんまり寒そうだったので、風呂の残り湯に入れてやったのだというのです。 洗面器をのぞいたら、確かに蛙は動いていました。 いや、足をばたつかせて必死にもがいていました。

理事  佐々木隆二